技術・知識

【誰でもわかる】墨出しのやり方【基礎知識〜具体的な手順を解説】

エレ子
エレ子
墨出しってどうやるの?なんだか難しくてよくわかんないよ…

今回はこのような悩みに答えていきます。

本記事のテーマ
  • 電気工事の墨出し作業
この記事を書いた人

本記事では電気工事で行う「墨出し作業」について解説しています。

「墨出しってなに?」
「具体的なやり方を知りたい」

こういった人向けの内容になっています。墨出しは、全ての工程において基準となる大切な作業。「正確な墨出しが出来る=仕事がデキる」といっても過言ではありません。

この記事では、墨出しの基礎知識〜状況別の手順を徹底的に解説しています。知識を習得し、現場に活かしていただければ幸いです。

でんちゃん
でんちゃん
それでは一緒に見ていきましょう♪

墨出しとは?

墨出しとは仕上げ工事の前に、建物の柱の中心線や床・壁の仕上げ面の位置など、様々な場所に基準となる線を記すことです。

最終的な仕上がりに影響する重要な作業で、2つのポイントがあります。

  • 図面を読み解くチカラ
  • 正確な寸法を出せる技術

図面を読み解くチカラ

墨出しをするためには図面を読み取るチカラが必要です。なぜなら、図面通りに施工をしなければいけないから。

図面を読み解くには、基本的な図記号や寸法の計算方法などを理解する必要があります。この基礎が分かっていないと墨出しをすることは出来ません。

正確な寸法を出せる技術

墨出しをするためには正確な寸法を出せる技術が必要です。

上記の図面を読み解くチカラがあっても、それを現場に墨として出せる腕がなければ意味がありません。

地面に出す墨、天井に出す墨など場面によって様々な墨出し方法があり、それを上手く使いこなすことが大切です。

エレ子
エレ子
ふ〜ん、墨出しって何だかよくわかんないけど色んな方法があるんだ
でんちゃん
でんちゃん
方法は沢山あるし、職人さんによってそれぞれやり方が違うんだ

墨出しの方法(基本編)

エレ子
エレ子
で「墨出し」って言っても実際のところどうやってやるの?
でんちゃん
でんちゃん
うん、それじゃ墨出しの具体的な方法を解説していくね♪

ここでは墨出し作業の基本として「墨つぼ」の使い方を説明します。

墨つぼとは?

墨つぼ

墨つぼはまっすぐな水平ラインの目印をつけるための道具です。使い方はシンプルで、2点のポイントを出し、朱墨の付いた糸を弾いて目印を付けます。

墨つぼの使い方

墨つぼの基本的な使い方を解説します。手順としては下記の3つ。

①カルコを挿す
②糸を伸ばす
③糸を弾く

墨つぼの使い方①カルコを挿す

墨つぼ使い方①カルコを挿せない場合は、2人作業で1人が補助をします。

墨つぼの使い方②糸を伸ばす

墨つぼ使い方②糸はできるだけ強く張ること。弱いと糸を弾いた時に朱墨が飛ばなくなる。(墨がうつらない)

墨つぼの使い方③糸を弾く

墨つぼ使い方③糸は地面に対して垂直に上げて弾くのが基本。斜めになると歪んだ墨になります。

エレ子
エレ子
なぁんだ、簡単じゃん!糸引っ張って弾くだけでしょ?
でんちゃん
でんちゃん
それがね、結構難しいんだよ。糸の張り具合、弾く強さ、割と経験が必要な道具なんだ

墨つぼの構造や使い方はとてもシンプルですが、正確な墨出しをするには経験が必要です。たくさん使って、自分なりのコツを掴むことが1番の上達方法です。

Instagramに墨つぼに関する基礎知識をまとめているので、詳しく知りたい方はご覧ください。

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墨出しの方法(100切り)

墨出しのテクニック「100切り」について解説します。ミリ単位で正確に出すには必須の技術。

通常スケールの爪の部分(0mm)で墨を出した場合、数ミリの”あそび”が出来てしまうので正確な寸法は出せません。※0点補正移動爪で引っ掛け、押し当ての場合を除く

「100切り」とは、スケールの100mmの部分を起点として、出したい寸法の+100mmで墨を出す方法です。次から、具体的な手順を解説します。

長さ100mmの墨出しをする場合を例とします。

墨出し100切り①スケールの100mmの位置で墨を出す
墨出し100切り②スケールの200mmの位置で墨を出す
墨出し100切り③2点の間が100mmになります

このように100切りで測ることで、爪部分を起点にするよりも正確に墨を出すことができます。

エレ子
エレ子
100mmと出したい寸法+100mmに墨を出すってこと?今のは簡単だけど、現場でやるとけっこう面倒に感じるかも…
でんちゃん
でんちゃん
より正確に墨出しをしたい時は「100切り」それ以外はスケールの爪(0mm)を起点、と使い分けるといいよ♪

現場ではミリ単位でこだわる作業と、ある程度ズレても問題ない作業があります。

全てに100切りを使うと逆に手間がかかる場合があるため、作業内容によって使い分ける判断も必要です。

墨出しの方法(地墨)

でんちゃん
でんちゃん
次は「地墨(じずみ)」の出し方について解説するね
エレ子
エレ子
地面に出す墨だから「地墨」なんだね

まず下図を御覧ください。

地墨出し①

中央部分のダウンライトの墨出しを例とします。

①第1ポイントを出す

地墨出し②

まず「返り墨(かえりずみ)」と呼ばれる、柱から一定距離を離して記された墨を基準に寸法を測ります。

図では1000mm返りなので、そこにスケールの1000mmを合わせ4000mmの位置にポイントを”2点”出します。

地墨出し③

2点を墨つぼでラインを引き結びます。

②第2ポイントを出す

地墨出し④

第1ポイントと同じく返り墨を基準にダウンライトの寸法を出します。

返り墨(1000mm返り)にスケールの1000mmを当て2000mmの位置にポイントを”2点”出します。

地墨出し⑤

2点を墨つぼでラインを引き結びます。この中心点が図面で記されたダウンライトの位置です。

エレ子
エレ子
返り墨を基準に考えるんだね
でんちゃん
でんちゃん
地墨出しは全て”返り墨”などの基準墨を起点に寸法を出すんだよ。他にも、柱芯を記した親墨(おやずみ)の場合もあるから現場でよく確認しようね

墨出しの方法(天井下地)

でんちゃん
でんちゃん
次は天井の下地に出す、軽量開口の墨出しを解説するね
エレ子
エレ子
天井下地の墨出しねぇ、何だか難しそう…

天井の下地、つまり石膏ボードを貼る前の墨出しについて解説します。下図は天井下地の現場の状況です(見やすくするため簡素化しています)

軽量墨出し9左:全体図  右:下から見上げた視点

まず、地墨にレーザー墨出し器を合わせ、天井面に墨を移します。ここでは100φ(直径100mm)ダウンライトの墨出しを行います。

①ダウンライトの芯を出す

軽量墨出し3

レーザー光の当たっている下地部分にマーキング。

②縦ラインの墨を出す

軽量墨出し4

ダウンライト100φに対して両サイド25mmの余長を見た150mmで墨を出す。※実際は真下ではなく下地の側面に書きます

③横ラインの墨を出す

軽量墨出し5

縦と同じ要領で横ラインにも墨を出す、これで完了です。

エレ子
エレ子
これってさぁ、もしダウンライトが大きくて下地に当たる場合はどうすればいいの?
でんちゃん
でんちゃん
その場合は下地を組んだ軽量屋さんに分かるように記しておく必要があるんだ

下図は器具が下地に当たる場合です。

軽量墨出し6

このような場合、当たる部分の外側の下地に墨を出します。下図を御覧ください

軽量墨出し7

下地の当たる部分には斜線を引いて、ひと目で分かるようにしておきます。(追加でビニルテープを吊るすように巻いておく)

軽量墨出し8

上図のように当たる部分を下地を組む軽量屋さんが切断〜開口補強をすることで、器具が収まる状態になります。

墨出しの方法(点検口)

でんちゃん
でんちゃん
ここでは点検口の墨出し方法について解説します
エレ子
エレ子
今度は下地に石膏ボードを貼った後の墨出しってことだよね

「点検口の墨出し」は四角形の墨を出すということ。簡単な図を使って説明していきます。

①地墨にレーザー墨出し器を合わせる点検口の開口サイズ450mm角を例とします。(450mmの正方形を書く)

点検口墨出し1左:全体図  右:下から見上げた視点

注意点は、壁に対して平行にレーザー墨出し器を置くこと。地墨が正しくてもレーザー墨出し器の置き方が曲がっては意味がありません。

必ずスケールでレーザー光が壁と平行になっているか確認しましょう。

②縦ライン4点のポイントを出す

点検口墨出し3

レーザー光の中心から450mmの半分、つまり225mmを振り分けてポイントを4点出します。

この際芯(レーザー光)から両サイド250mm以上離しておきます。(グレー範囲の外側)

③横ライン4点のポイントを出す

点検口墨出し10

縦ラインと同じ要領でポイントを出します。注意点は、最初に出した縦方向のポイントより外側に出すこと。(グレー範囲の外側)

④レーザー墨出し器を離す

点検口墨出し5

レーザー墨出し器を離します。理由は墨つぼを使う際、朱墨(しゅずみ)が本体にかからないようにする為。

⑤墨つぼで墨を打つ

点検口墨出し6

墨つぼで8つのポイントを結びます。四角形に墨を出した後は必ずスケールを当て、450mmの四角形になっているか確認してください。※正確に測るため”100切”で見ること

⑥マーカーペンで表記する

点検口墨出し7

マーカーペンでわかりやすいように四隅を書き、電気の点検口とわかるように表記しておきます。これで点検口を取付けるボード屋さんは、どこの業者の点検口の墨なのかが分かります。

エレ子
エレ子
質問!さっきポイントを出す時に「250mm以上離す」「縦ラインの外側に出す」とか言ってたのって何で?
でんちゃん
でんちゃん
それは墨を打つ回数を最低限に抑えるためなんだ、失敗例を解説するね

先ほど手順で下記の注意点がありました。

・横のラインから両サイド250mm以上離す
・横方向のポイントは縦方向の外側に出す

これを守らなかった場合が次からの図です。

①縦ポイントが横ライン250mm以内

点検口墨出し11ポイントがグレー範囲の内側

②横のポイントが縦ラインの内側。

点検口墨出し12ポイントがグレー範囲の内側

この状態で墨出しを行うと下図のようになります。

点検口墨出し13四角形にならない

8つのポイントが結びつかず四角形になりません。この場合、墨の打ち足しが4回必要になります。

点検口墨出し14
エレ子
エレ子
なるほどねぇ、普通なら4回で済むのが8回墨つぼ使わなきゃいけなくなるんだ。
でんちゃん
でんちゃん
その通り、だからポイントは点検口のサイズよりも広く出す必要があるんだよ

まとめ

重要ポイント
  • 墨出しは図面を読むチカラ、正確な寸法を出す技術が必要
  • 100切は、100mm起点と出したい寸法+100mmで測る技術
  • 地墨出しは基準墨を起点に寸法を測る
  • 下地の墨出しは、余長で器具+50mm
  • 下地が当たる時は、斜線+ビニルテープで分かりやすく表示する
  • 点検口の墨出しは真四角+表記で正確にわかりやすく表示する
  • 点検口サイズより広い幅でポイントを出す
エレ子
エレ子
墨出しってたくさんのやり方があるんだね、これから一杯勉強しなきゃ!
でんちゃん
でんちゃん
今回紹介したのは墨出しの基本部分、現場では状況に合わせて応用を効かせてね。あと、職人さんによってもやり方が違うから色んな人から学ぶのも大切だよ♪

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