電気工事士は女性でもできるのか?
結論として、性別関係なくフラットな視点でいうと可能です。多くの方は「女性の私でもやれるか心配……」と業界に入る前に悩んでしまいます。
とはいえその不安は「未経験の僕でも電気工事はできますか?」という男性の悩みとたいして変わりません。
つまり大切なことは”やりたい気持ち”です。
本記事では、データから見る女性の割合や電気工事の実態、さらには今現場で活躍している「電工女子」の方々をご紹介します。
女性向けではありますが、性別に関わらず全ての方に参考になる内容になっています。
電気工事士は女性でもできる仕事?
「電気工事という仕事は女性にもできるのか?」という悩みには先述の通り可能だと言えます。
実際に現場では女性職人さんや監督(施工管理)さんを見る機会が増えています。
また、SNSの普及により「現場女子」や「電工女子」といった言葉で徐々に認知が広がりつつあると感じています。
とはいえ世間一般として実際に職に就く人はまだまだ少なく、認知されていないのが現状。
電気工事業界は人手不足と言われ、さらにその中でも女性の比率は全体の2%程度だと言われています。
下記は、経済産業省による高校・大学入学〜キャリアの道筋に関する資料、ご覧ください。
- 電気科の女性比率: 高校3%、大学8%
- 電気工事業界の女性比率: 2%
- 電気業界3年後の離職率: 20〜40%
Twitterのアンケート調査
インターネットでは、女性の電気工事士に関するデータが少ないので独自に調査。
Twitterでは業界に関わる方を対象に下記のアンケートをとりました。
【アンケート】電気工事士は女性でもできる?
職人側・施工管理側・(元)現職・は問いません。
ご協力お願いします
コメントできる方は、自由な意見お待ちしています☺️— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) February 7, 2022
・電気工事は女性でもできる 89.3%
・電気工事は女性ではムリ 10.7%
アンケート結果は約9割の方が「できる」と回答。その中で頂いたコメントの一部を紹介します。
Instagramのアンケート調査
Instagramでも同様に、業界に関わる方を対象に下記のアンケート調査をしました。
・電気工事は女性でもできる 134票(91%)
・電気工事は女性ではムリ 13票(9%)
上記のとおり約9割の方が「できる」と回答。ストーリーで頂いたコメントの一部をご紹介します。
Instagramのフォロワー分析
参考値としてInstagramフォロワー数の男女比率、女性の年齢層を紹介します。
SNSではいわゆる”相互フォロー”などのフォロワー数集めは行っていないため、ある程度信頼できる数値だと思います。
・フォロワー男女比率
男性約1540名(85.6%)
女性約260名(14.3%)
・女性の年齢層
35〜44歳(43.8%)
25〜34歳(34.7%)
当サイト「でんブロ」の訪問者数
「でんブロ」訪問者の男女比率(過去3ヶ月分)データを分析しました。
・男性 8615名(80.82%)
・女性 2044名(19.18%)
ブログに関してもSNS同様に電気工事の専門情報を取り扱っているので、訪問者の属性は「電気工事士、電気工事に興味のある方、資格を取りたい方」など。
女性にはキツい?電気工事の実態
悩みを抱えている女性の多くは「体力面での心配」。結論からいうと、電気工事はかなりの体力仕事。特に下記のような場面でキツいと感じます。
- 工具・材料などを持って移動
- 重いケーブルを扱う作業
- ムリな体勢や不安定な場所での作業
これは「キツい、辛い」という意味でいうと男女関係なく当てはまること。
実際、私が新人の頃はニッパーでVVFケーブルを切れないくらい貧弱な体力でした。でも経験を積めば、身体の使い方やチカラの入れ具合といった”コツ”を掴んできます。
環境面に関しては正直な所「現場による」ことが多いです。大手ゼネコンでは基本的に女性用に更衣室やトイレは完備されています。
ただ現場の規模によっては、トイレは男女兼用の場所もあります。
特に新築現場などの「仮設トイレ」は管理が酷い所もあり、改善の必要アリだと感じます。
「現場による」というのは現場の組織作りが関係していて、”ちゃんとしてる所はキレイだし、ダメなところは汚い”とムラがあるのが現状。
▼「辛い」をテーマに深堀りした記事はコチラ
電気工事士が女性に向いている理由
電気工事が女性に向いている理由は3つあると考えています。
- 女性の存在は重宝される
- 女性ならではの安心感がある
- 女性が業界を変える時代が来る
女性の存在は重宝される
「男性社会の中でうまくやっていけるかな」
こういった悩みを持つ女性は多いです。現場は本記事のデータと同じでほぼ9割が男性。
・怖い人ばかりなんだろうな…
・女性差別を受けたらどうしよう…
と悪いイメージを持つことも多いでしょう。でも実際の所は「そうでもない」です。
やさしく気さくな人が多いし、数ある生き方の中でこの業界を選んだ事を喜んでくれる職人は非常に多いです。少数派だからこそ「守りたい」と思われる。
女性ならではの安心感がある
建築現場とは別に、個別の住宅やマンション工事などは女性の方が安心してもらえるメリットがあります。
実際に女性限定のかけつけサービスを行っている会社もあり、女性の一人暮らしやシングルマザーから多くの反響を得ています。
女性が業界を変える時代が来る
ここ最近、建築業界ではSNSなどを通じたインフルエンサーの活動が盛んになってきています。
企業は有名な職人をアンバサダー(宣伝大使)として起用し自社の商品をアピールする、そんな時代。
中には、一般社団法人を立ち上げ”建築業界を変える”活動をしている「現場女子」「電工女子」といった方々が増え、新しい流れを感じます。
現場で働く「電工女子」紹介
ここではSNSで活躍されている「電工女子」の方々をご紹介します。(敬称略)
なないろ電気通信株式会社 前中由希恵
「なないろ電気通信株式会社」の電気工事士。自身のキャリアから”女性”に関する建設業界の問題に切り込み、一般社団法人女性技能者協会を設立。
立ち上げに向けてのクラウドファンディングでは、多くの支持を得て目標金額300%超えで達成。”女性が建設現場を変える”を理念に活動中。
作業風景、工具紹介など現場のリアルを伝える発信が特徴。未経験の方にとって電気工事士のイメージを身近に感じることができる。
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一般社団法人女性技能者協会
・建設現場で技能者(職人)として働く女性は近年増加していますが、まだまだ比率でいうと1割に満たないのが現状。
私自身が建設現場で働きだしたのが、17年前のこと。
新卒で、建設現場で技能者として働く女性がかなり少なかった当時は、周りからは辞めておいた方がいいのではないか、難しいのではないかという声を掛けられることが大半でした。
時が経つにつれ、最近では女性が増えた実感はあるものの多い感じる現場でも1割に満たないのが現状です。
・建設現場で女性が活躍することは可能!!
難しいのではないかと言われたことがあったものの、現実に17年勤務している実績があります。
女性でもできる私が声を大にして伝えたいのは、自分が選んだ道を信じて進んでいけば継続して働き続けるための道を切り開くことができます。だから、もし興味を持ったなら是非チャレンジして欲しいです。
・課題はまだまだたくさん、、、
仮設トイレが男女に分かれておらず使いにくい、、、圧倒的に女性が少なく仕事で認めてもらいにくい、ライフイベントの両立が難しいなど様々な課題があるのが現状です。
朝の朝礼に参加することが必須であったり、遠方の工事現場への通勤など両立する事へのハードル高さと理解不足がまだまだ足りていないなどの声も聞かれます。
・クラウドファンディングで見えたこと。
女性が建設現場の技能者として働くことをサポートする事で、女性が働く環境が整備される事により、誰しもの建設現場で働く環境がより早く整う。
若者離れが進む、建築現場において人手不足の解消に女性の技能職への進出がその解消になるのではないか。
など、数えきれない可能性に、今回女性技能者協会へのクラウドファンディングへの支援という形で、業界内の期待値を形とすることができました。
皆様のおかげ様で設立できた当協会を今後ともよろしくお願いいたします。
一般社団法人女性技能者協会
代表理事 前中由希恵一般社団法人女性技能者協会
より引用
(株)エース電気 悠
「(株)エース電気」の電気工事士」
日常やライブ配信などフォロワーに寄り添った活動が魅力。
株式会社 森電設工業 「H」「K」
「株式会社森電設工業」の電気工事士。
「腰道具」に焦点を当てた投稿が特徴で、職人に人気のメーカー”ニックス”でカスタマイズした腰道具は圧巻のひとこと。
同業者との繋がりが深く、コラボ投稿で色んな職人の腰道具を見ることができる。
Instagram、You Tube、Twitterと積極的なメディア展開で多くの人に電気工事の魅力を発信中。
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KANA
現役の電気工事士、まず驚くのが「見た目とのギャップ」。
Instagramの投稿では、仕事とプライベートの差から驚く人も多いが「ガチのベテラン電気工事士」。
ストーリーズ(ハイライト)からはリアルな現場風景を見ることができ、未経験の方にとっても学びが深い。
発信活動はInstagramのみながらフォロワー約6000人を誇る、知る人ぞ知る人気の職人。
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電気工事女士ちーバリ
パートで電気工事をする見習い職人さん。初心者の目線で苦労、やりがいなど共感できる投稿が魅力。
未経験の方や、新人さんにとって身近に感じる存在で”私もがんばろう”と思わせてくれる。
ワークウェアの投稿も豊富でファッションの視点でも楽しむことができる。人気急上昇中の電工女子。
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まとめ
- 現状、女性の電気工事士は業界の約1割
- 女性でもできると感じる業界人が大多数
- 体力面、環境面のキツさ等の課題アリ
- 女性だからできる電気工事士の需要がある
- 業界を変えていく「電工女子」に注目
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