こういった疑問に答えます。
電気工事士の仕事・業界・スキルアップ全般
本記事では電気工事士の仕事全般に関する内容でお届け致します。
「電気工事の仕事がよく分からない」
「業界について詳しく知りたい」
「スキルアップの方法が知りたい」
こういった事で悩んでいませんか?
実のところ、電気工事は大きな産業ながら一般認知が低い職業です。期待を胸に業界に飛び込んだものの、思っていたのと違った・・という人も多く見てきました。
この記事を読むことで電気工事のリアルな現状や、作業における技術や知識を広く学べる事ができます。
現役の電気工事職人だからこそできる”生きた情報”を伝授します。
本記事は定期的に内容をアップデートしていきます。電気工事に関する知識や作業内容も含め、深く掘り下げた情報を詰め込んだまとめ記事として完成させます。是非ブックマークなど何度でも見返せる様にしていただくと幸いです。
電気工事士の仕事内容
電気工事と聞いてどんな事を想像しますか?
大抵の人は「照明を付けて明るくさせる仕事」とイメージするかと思います。
ですが実際のところ、仕事内容は沢山の種類があります。もし、電気工事の仕事を一言で表すとするなら「電源が必要な設備に電気を供給する仕事」が一番しっくりきます。
では具体的に、どういった種類の電気工事があるのか解説していきます。
🔽電気工事の7つのカテゴリー
■建築電気工事
・屋内配線工事
・外線配線工事
・冷暖房設備(エアコン)
・ビル管理■鉄道電気工事
・変電設備工事
・線路工事
・駅設備工事それぞれの分野に電気のスペシャリストがいてさらに細かく枝分かれしています。電気と言っても色んな職人さんがいる業界 pic.twitter.com/CpRzUPmZkW
— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) March 6, 2023
上記ツイートの通り、一言で電気工事と言っても様々な種類があります。その中でも大きく2つ「建築電気工事」「鉄道電気工事」に分けられます。
建築電気工事
電気工事には大きく2つに分類され、ひとつがこの建築電気工事です。
建築電気工事の種類は大きく分けて下記の4つです
- 屋内配線工事
- 外線配線工事
- 冷暖房設備工事(エアコン)
- ビル管理
屋内配線工事
屋内配線工事は一般家庭やビル・工場等の屋内の配線をする工事です。
屋内配線工事は配線や器具付けなど、電気工事の基礎を学べる作業が多く
特に新築現場等を経験しておけば建物がどういう過程を経て作られていくのかが理解できるようになります
外線配線工事
外線配線工事は、電柱から建物へ電線を繋ぐ工事です。
電気工事と言えばおそらく1番よく見る光景なのではないでしょうか?電柱に登って職人さんが作業をしているアレです。
具体的な作業内容は下記の通りです。
- 電線の張り替え、補修
- 電柱の新設や建て替え
- 変圧器の新設、吊り替え
発電所や変電所から来た電線を変圧(大きな電圧を小さな電圧に変えて使えるようにする)して各家庭やビルなどに繋ぐのが主な作業の目的です。
ちなみにこの電柱の配線は徐々に「地中埋設」に変わりつつあって、空中の配線から地面の中に電線が通ることが多くなっています。
冷暖房設備工事(エアコン)
冷暖房設備の工事は簡単にエアコン屋さんというとわかりやすいと思います。
私たちが購入したエアコンの取り付け工事をする仕事です。
具体的な作業内容は下記の通りです
- エアコンの取り付け、交換
- エアコンのクリーニングなど
電気を扱うほかに冷媒管やドレンホースの配管などの空調設備工事も含まれる為、色んな知識が身に付く仕事です。
建築現場になると、こういった設備工事は電気工事、空調工事と会社が分けられている場合もあります。
ビル管理
ビル管理の仕事はビル内全ての設備を管理する仕事です。
オフィスビルや学校、ホテルなどの建物の設備を保守点検をします。
具体的な作業内容は下記の通りです。
- 電球の交換
- ボイラー室で計器等のチェック
- 空調設備、衛生設備の測定など
ビル管理に必要な知識は多岐に渡り、その為必要な資格も多くあります。
代表的な資格は第二種電気工事士を始めビル設備管理技能士、ビル管理士、ボイラー2級など
建物の管理側の仕事なので日勤、宿直、夜勤と交代制の勤務形態が多いのが特徴です。
鉄道電気工事
鉄道電気工事は私たちが普段利用している電車、モノレールに関する工事を始め、
鉄道や駅の設備に関する工事まで行います。主に3つのカテゴリに分けられます。
- 変電設備工事
- 工事線路工事
- 駅設備工場
変電設備工事
電車やモノレールは電気がなくては動きません。
その為には発電所から送られてくる電圧を変圧して電車に送る必要があり、そのための工事です。
具体的な作業内容は下記の通り
- 変電所の建築
- 変電所のメンテナンス
- 変電所の管理
つまり電車を動かす為の電気を作る仕事、と言えば理解しやすいと思います。
線路工事
線路工事はその名の通り線路に関する設備工事を行います。
具体的な作業内容は下記の通りです。
- 電車に電気を供給する
- 踏切、信号などの設備工事
ちなみに、電車の上には「パンダグラフ」という電気を通す設備が付いていて、ここへ「トロリ線」という電線を通して電車に電気を供給します。
線路工事は電車が動いていない間に行われる為、基本的に夜間工事になります。
駅の電気設備(点検・工事)
駅構内の設備に関する工事を行います。
具体的な作業内容は下記の通りです
- 照明の工事
- 電光掲示板やモニターの工事
- 改札の工事空調設備の工事
駅の中全般に関わる設備の工事で定期的な点検も含まれます。また、駅の新設工事も行います。
いかがでしたか?電気工事とは色んな場所で色んな種類に分けられています。
今回は大きなカテゴリに分けましたが、具体的にはもっと細かく枝分かれしていてそれぞれに専門のスペシャリストがいる、と言った感じです。
未経験の人からしたら意外なことなんですが電気工事士の現場は沢山あります。RC(鉄筋コンクリート)の現場、木造建築や架線工事、プラント工事、イベントの仮設工事などなどその他にも色んな現場に職人さんがいます。作業内容も電気をつけるだけじゃないのが電気工事士😌
— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) March 7, 2023
上記ツイートの通り電気工事士の仕事の幅はとても広いです。
これから電気工事を始めたい人は、大まかでいいのでどんな種類の電気工事をしてみたいのかを考えておくのもいいかと思います。
何故なら、会社によって専門としている電気工事はバラバラだからです。
屋内配線工事といっても木造メインのところもあれば、RC(鉄筋コンクリート)造メインの会社もあります。(両方する所もあります)
事前に調べ、情報収集しておくだけで「思っていたものと違った」という失敗は割と防げるのかなとも思います。
電気工事士に向いている人の共通点
これから電気工事士を目指す方にとって疑問が多い「向いている人」。結論は”やる気”があれば何とかなる、ですが少し理解しづらいと思うので下記にまとめました。
①几帳面
②モノ作りが好き
③体力に自信がある
④忍耐力がある
⑤オリジナリティを出せる
⑥行動力がある
⑦コミュニケーションが得意
上記の7つですが、個人的には一個でも当てはまれば適正アリと思っています。というのも、全ての条件が当てはまる人はいないからです。
どこか一つでも突出していれば強みになります。私の場合、①の几帳面しか当てはまりませんでしたが、それが今では自分の個性に繋がっていると感じています。
「電気工事が好きな気持ち」+上記のどれか一個でOKです。
電気工事士に向いてない人の特徴
①遅刻をする
②あいさつが出来ない
③言われたことしかやらない
④向上心がない
⑤自分のことしか考えてない
5つの特徴を見て「こんなの当然」と思った人は問題ありません。もし心あたりがあると感じた人は、意識するだけも構いません。なぜなら向いていない人の特徴を知ることで、対策ができるから。
一方で、電気工事士になるためには事前の予備知識は必要ないという見方も出来ます。真っ白な状態で飛び込んでもOK、知識の多くは経験から学ぶ業界だからです。
そこで、下記のようにまったく逆の考え方をすればどうでしょうか
①遅刻をしない
②あいさつが出来る
③言われたこと以外も考える
④向上心がある
⑤周りに気配りができる
上記の本質は「人間力」です。これは新人さんにもベテランさんにも言えるとても重要なこと。技術も大事ですが、それ以上に人の根っこ部分が現場では活きてきます。
電気工事士の魅力・やりがい
電気工事のやりがいとしてよく挙げられるのは「照明が点灯した時」
実際に私も初めて感じたのはその瞬間でした。
電気工事士はその作業内容から大変な事が多い。でもその辛いことを乗り越えてきた人にしか分からない達成感とやりがいを感じる程、照明の点灯は特別なことです。
仕事のやりがいは向き合う姿勢で作られる。
電気工事のやりがいはよく”電気が点灯した時”と言われます。その理由は点灯に至るまでに積上げてきた作業量と真剣さに比例していくから。本気でやるから楽しいし、本気で向き合うからこそやりがいにたどり着く。何事にも通じますね☺️— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) March 8, 2023
上記ツイートの通り「やりがい=照明点灯」は一つの例で、それ以上に大切な事は仕事に対する姿勢なのかなとも思っています。
その為には普段から小さな成功体験を感じていく事が大切で、具体的には下記のような意識を持つことだと思います。
- 一人で配線作業が出来た
- 前回よりも速く作業が出来た
- うまくコミュニケーションとれた
どんな小さなことでも上手くいった自分を積み上げていくことが、後のやりがいに繋がっていきます。
≫電気工事士の魅力・やりがいとは?【現役電気工事士が解説します】
電気工事士が辛いと言われる理由
電気工事は決して楽な世界ではありませんし、色々と苦労の多い職業です。
下記ツイートは私が辛いと感じたところをまとめたものです
電気工事士の辛いところ7つ
①割と残業が多め
②日曜祝日出勤がある
③朝が早い
④休憩中が作業チャンス
⑤業界内で立場が下の方
⑥材料・作業など覚える事が多い
⑦目に見えない電気の恐怖がある新人さんは特に大変に感じるポイント。電気屋さんって大変😅
— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) March 9, 2023
特に新人の頃は建築現場の雰囲気になかなか慣れないことが多く、正直な所これらを解決する答えは「時間と経験」しかないと思っています。
ただ現場の職人全てが感じることでもあり、乗り越えてきた壁でもあります。
辛い所は沢山ありますが、それを糧にして成長していくことが大切だと思います。
電気工事士の残業事情
電気工事と残業の関係は、正直に言うと「深い」です。その理由は大きく3つあります。
- 作業が定時で間に合わない
- 他職と絡む作業で時間がズレ込む
- スキル不足
上記の中でも特に「他職と絡む作業で時間がズレ込む」が1番多い理由。例えば軽量屋さん(壁・天井の下地を組む業種)との関係性は「軽量屋さんが組んだ下地に対して、電気用の配管やボックスを取り付ける」というのが基本です。
という事は”下地が組み終わらないと作業が出来ない状況になる”わけです。このタイミングが悪いと工程に追われ遅くまで残業になることがあります。
電気工事と残業の関係は深いですが、それを回避するための方法があります。詳しくは下記の記事で深堀りしているのでぜひご覧ください
電気工事士として一人前になるには?
電気工事士として「一人前」の評価を受けるためには割と長い期間の経験が必要なってきます。1つの指標として「3〜5年」を目安に考えるといいでしょう。
というのもチームリーダー「職長」の任に就く時期が3〜5年の時期に多いからです。この職長になるためには下記3つのポイントが重要になってきます。
- 作業全体の流れを掴んでいる
- 他業種との作業調整ができる
- 状況に応じた正しい判断が出来る
私が思う「一人前」とはもっと本質的な部分だと感じています。職人の価値は知識・技術・人間力の総合評価で決まります。
▼かなり深い部分まで掘り下げた記事がありますので、ぜひご覧ください。
≫【現役直伝】一人前の電気工事士になる為の徹底講座【現場のリアル】
電気工事は女性でもできる仕事?
電気工事士に興味のある女性が必ず抱える悩み
「電気工事は女性でもできる仕事なのか?」
結論「可能」です。多くの方は「女性の私でもやれるか心配……」と業界に入る前に悩んでしまうけど、その不安は男性の「未経験の僕でも電気工事はできますか?」という悩みとたいして変わりません。
独自の調査では、業界内にいる約8割以上の人は「女性でも電気工事はできる」と答えています。つまり、未経験の人と経験者には感じかたの差が大きいということ。
とはいえ現状、現場には下記のような課題があるのも事実
- 一般認知
- トイレ問題
- 更衣室問題
女性参入のハードルを下げ、受け入れる側は環境を整備することで、女性進出の手がかりになると考えています。
▼電気工事と女性に関する深堀りした記事はコチラ
≫【未経験者必見】電気工事士は女性でもできる?【電工女子紹介アリ】
電気工事の作業内容【技術解説】
ここでは電気工事の作業内容を解説していきます。しかし、電気工事の作業はとても広いので基本になる3つの作業に焦点を当てていきます。
- 墨出し作業
- 配管作業
- 配線作業
墨出し作業
個人的に「墨だしが上手い=仕事がデキる」といっても過言ではないと思います。図面を理解してその通りにイメージできるのは大きな強み。墨出しは優先して極めるべきです。
▼コチラの記事で墨だし作業について深く解説しています。
≫【誰でもわかる】墨出しのやり方【基礎知識〜具体的な手順を解説】
配管作業
スラブ配管
スラブ配管とは建物の「躯体工事(骨組み段階)」で行う配管作業です。使う電線管は合成樹脂管(PF管またはCD管)。
工事の早い時期で先行して配管をしておくことで、後の配線作業が楽になります。
≫【電気工事士】はじめてのスラブ配管【図解で分かるカンタン解説】
金属配管
金属配管は衝撃に強く全ての条件の場所で施工することができます。使う電線管は厚鋼電線管・薄鋼電線管・ねじなし電線管の3種類。
金属配管作業は曲げるためには、専用の工具(ハイヒッキー・ノーマルベンダー)を使います。この作業には高い技術が必要になります。
配線作業
配線作業は電気工事士のメインとも言える作業です。盤(配電する元)からコンセントや電灯などの負荷へケーブルを配線します。
様々な種類の道具を使い、色んな考え方の配線方法があります。職人の数だけやり方がある、と言っても過言では無いほどに幅広い作業。
読者の皆様へメッセージ
本記事では電気工事に関する仕事や業界の事を解説してきました。ただ、これから電気工事士を目指している方には”実際に体験すること”が1番です。
なぜなら、現場の世界は「手を動かし見て触れること」で学んでいくから。正直私が教えるよりも、先輩や親方のやり方で覚えていくことの方が多いのかもしれません。
なので当サイトの情報は、普段の仕事の補足として取り入れていただくことが理想的な活用方法だと思っています。
電気工事の知識がお役に立てれば幸いです。