こういった疑問に答えます。
電気工事士で一人前になるには
本記事は電気工事士として成長したい人向けの内容です。
「電気工事士として一人前になりたい」
「現場で伸び悩んでいる……」
こういった事で悩んでいませんか?
電気工事士として一人前になることは、決して楽な道ではありません。というのも、覚える技術や知識がとても多く、現場の立ち回り方も相当な経験が必要になってくるから。
結論としては○年というハッキリとした答えは出せません。そこで目安となる指標と、一人前になるためのコツを解説。更には反面教師として「ダメな職人」の例も合わせて紹介していきます。
現時点では歴7年の私から、この記事を読んで下さる方に少しでも役立つ内容でお届けします。
電気工事士が一人前になるまでの期間
電気工事士(職人)の「一人前」とは?
職人の世界において「一人前」とは、とても判別が難しいです。なぜなら、それは評価する人の基準によるものだから。独立開業と言ってしまえば答えは簡単ですが、それに至るまで”この人になら任せられる”と思われる評価のおはなし。
人によっては様々な意見があるとは思いますが、一般的に見て下記のポイントが重視されます。
- 作業全体の流れを掴んでいる
- 他業種との作業調整ができる
- 状況に応じた正しい判断が出来る
「職長」とは作業チームのリーダーです。上記のポイントをおさえつつ適切な人員配置や作業指示、そして自分自身も作業を行うオールマイティな役割です。
新人さんは、職長を任せられることを目標にするといいでしょう。
一人前になるまでは約3〜5年
電気工事士として一人前になるには、おおよそ早くて3〜5年の経験が必要です。ただし所属する会社、自身のやる気によって大きく左右されます。
3〜5年という根拠は、先述した「職長(リーダー)」を初めて任せられる人が多い為。始めは”職長研修”という形で先輩からアドバイスを受けつつ、全体の管理を任せられることが多いでしょう。
ただし「職長」は1つの指標。職長が出来る人がすべて優秀で一人前なのかというと、そうでもありません。
次章から具体的にどういった意識で取り組めばいいのか解説していきます。
電気工事士が一人前になるためのコツ6つ
🔽電気工事士が一人前になるためのコツ6つ
①自分で考えて行動
②自分以外の作業も意識
③作業の先読みをする
④周囲への気遣い
⑤指示された作業+αの行動
⑥自分の意見を発言する「一人前」とは経験年数だけを積んでも意味がありません。普段の意識と行動が積み重なり評価されるモノ😌
— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) February 3, 2022
上記ツイートから電気工事士として一人前になるためのコツ6つを紹介します。
経験年数とは関係なく、新人さんが今スグにでも意識して行動できることを厳選しています。
自分で考えて行動
職人の作業は基本的には与えられた作業をすること。ただ多くの人が勘違いしているのは、「与えられた作業しかしない」という指示待ちになってしまっている状態。これでは成長はありません。
職人業界のいい所は、オリジナリティが技術として評価される点。自分の考えた施工や作業工程の組み方が、個性になり強みに繋がります。
自分で考えて行動することは全ての基本です。新人さんが意識するのは大変だし、経験を積んだ人でも忘れがちになる大事なこと。
でもこの基礎が身についている職人は、この後解説するポイント全てに繋がります。
自分以外の作業も意識
作業に集中していると自分の仕事範囲だけに目を向けがち。しかし、現場は常に変化し動いています。電気工事士は特に、作業範囲も広く関わる業種も多い特殊な存在。
全体を見る目を養う事が大切で具体的には下記のポイントです
- チーム内の作業状況を把握する
- 他業種の作業状況を把握する
ここで大切なことは「視野を広げる」こと。言いかえれば、余裕を持った行動です。工程や時間に追われる切羽詰まる状況は沢山ありますが、普段から自分以外を気にかける習慣を見に付けることが大事です。
全体を俯瞰できれば作業計画を組んだり、チームを上手く回す頼られる存在になるでしょう。
作業の先読みをする
建築現場でうまく立ち回るには、作業の先読みが大切です。新人さんによくありがちなのが「今している作業が何の為なのか理解していない」状態。
先輩「今施工してる配管、何の線が通るの?」
新人「……ちょっと、わかんないです。」
こういう状況でよく見る”やらされているだけの人”。
電気工事士は、長い作業工程の中で様々な作業を行います。目の前の作業がどの工程に繋がり、完成に向かっていくのかをイメージする習慣をつけましょう。
この意識を持つことで、先手を打った一歩早い行動が出来るようになります。
周囲への気遣い
現場では、技術や知識と同じく「気遣い」がとても重要です。例えば、チームメイトに対しては変化に気づいて声をかけてあげること
「顔色悪いけど大丈夫?」
「最近元気ないけどなんかあった?」
「ミスが増えてるけど、何か悩んでるの?」
上記のように「声かけ」で言葉にして相手に伝えることが大切です。特に真面目な人ほど、自分で悩みを溜め込み周りが気づかないことが多い。
小さなサインに気づけるように普段から気遣いのアンテナを立てておきましょう。
一方で他業種に対しての気遣いも重要です。例を挙げると下記の通り
- 重いものを持つのを手助けできる
- 掃き掃除はついでに相手の範囲もする
- 相手の作業エリアに入る時は声をかける
指示された作業+αの行動
出来る職人は「指示された作業以上の結果を出す」特徴があります。なぜなら、その付加価値の部分が他の職人との差になると分かっているから。
一つ例を挙げます。コンセントのボード開口を頼まれた場合、ボード開口をするだけではなく、周囲の状況を見てやれるべき作業を探します。
- 配線が近くまで来ていればボックスまで入線しておく
- 壁がペンキ仕上げなら、開口切り口を面取りしておく
- 壁が仕上がったらコンセントの器具付けをしておく
上記のように作業1つに対して+αの仕事はいくらでも見つかります。このような行動を取れるかどうかで「仕事はこの職人に任せたい」という差別化に繋がります。
自分の意見を発言する
「言いたいことがあるのに言い出せない」「自分の意見を出せず、言われたことしか出来ない」こういう悩みの新人さんの声をよく聞きます。
ですが、新人さんにも解決方法はあります。それは「新人マインドを捨てる」こと。ここでいう新人マインドは下記のような思考です。
「私なんかの意見が通るわけない」
「怒られるのが怖くて言い出せない」
「恥ずかしい」
過去の私がこのような状態でその結果、基本や理屈がわからないミスばかりしていました。しかし、その殻を破ることはスゴく大切です。
- 怒られて当たり前でも意見する
- 失敗を恐れずに挑戦する
シンプルですが、とても重要な考え方です。少し厳しい言い方かもですが、この考えを持てない人は何十年経っても成長しませんし実際にそういう年輩の職人は山ほどいます。
自分の意見を発言するのは、新人さんにとってはハードルが高い。でも相手は同じ人間です。
普段からあいさつや雑談などを意識的にして、会話を作りやすい雰囲気を作ってくことが意見を出しやすくするコツ。
何気ない気遣い、小さな声かけ、日々の信頼関係の積み重ねから始めていきましょう。
【注意】働かない電気工事士5つの特徴
🔽働かない電気工事士5つの特徴
①武勇伝を語りたがる
②あたまでっかちで行動しない
③弱いものいじめ
④単独行動ばかりする
⑤不利になるとすぐキレるこういった人を批判するのではなく、自分がならないために心に刻んでおくべき。ダメな例を知ることで道を踏み外さなくなりますね😌
— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) February 3, 2022
一人前として評価される職人がいる一方で、働かない人がいることも事実です。ここでは反面教師として実際に現場にいる「ダメな例」を解説していきます。
武勇伝を語りたがる
過去の栄光が今でも眩しく光っている人。こういうタイプは自分を大きく見せてマウントを取る傾向があります。
「こんなすごい現場を経験したんだ」
「辛いことを乗り越えてきたんだ」
「今の若いやつは気合が足りねぇな」
武勇伝自体が悪いわけではなく、他の職人から得られる貴重な情報は沢山あります。とはいえ大切なのは今現在の自分。言う側も聞く側も注意。
あたまでっかちで行動しない
物知りで一見なんでもできそうに見える。でも実は口が達者なだけで作業ができないタイプ。
確かに現場では技術と同じくらい「知識」は大切です。情報量の差が職人のウデに繋がる部分も大きい。とはいえ技術と知識はワンセットです。
2つの要素は互いに影響しあってこそ意味があるので、あたまでっかちだけで満足してしまわないように注意。
弱いものいじめ
信じがたい事実ですが、職人の中には弱いものに対して強く出る人がいます。自分より能力が低いと悟ると、暴言を吐いたり小馬鹿にしたりといった行動に出ます。
ベテランさんからは経験の深さから仕事の本質を学び、 新人さんからは経験の浅さから初心を学ぶ。 自身のキャリアを積むほどに「自分は正しい」と固定観念が付きがち。でも常にフラットに、そして受け入れる心持ちが大事です。一生勉強ですね、そのほうが充実する
上記は私が大切にしている考え方です。どんな人からでも学びは得られると思えば、おのずと取るべき行動は分かるはずです。
単独行動ばかりする
チーム行動が嫌いで単独でできる作業しかしない。自分のレベルを見透かされるのが怖くプライドが高い人に多いタイプ。
チームとの連携がとても大事な電気工事において、単独行動ばかりするのは致命的。こういった人の言動には共通点が多く
「俺は〇〇の作業しかやらないから」
「一人でやったほうが速い」
「その作業は俺には関係ないし」
と上記のような個人プレーのポジションを好みます。やむを得ずチーム作業になったとしても、1番楽で連携の薄い作業に逃げようとする。
不利になるとすぐにキレる
自分の機嫌や都合が悪くなると、急にキレて感情を爆発してしまうタイプ。
「こんなんじゃ出来ねーよ!」
「あぁイライラすんなぁ!」
「お前バカなんじゃねーの!?」
こういった人は自分中心に物事を考えがちで、盲目的な思考を持っている場合が多い。周囲の人も圧倒されて黙ってしまう事があるため、「怒り=思い通りに物事が進む」と勘違いしてしまう。
このタイプは手を付けられなくて反面教師として見るのが1番。こういう人には周りから自然と人が離れ、そこで初めて間違いだったと気づく。辛い現実を味わうことになります。
その一方で、別の視点でも見てほしいと思います。その理由は、極度のストレスから感情が不安定になっている可能性があるということ。
建築現場では、厳しい労働環境から心の病気にかかってしまう人も珍しくありません。時にはそばに寄り添い、話を聞くことで救う事ができるかもしれない。
一つの側面で人を評価するのではなく、広い視野を持つことで見える真実もあるかもしれません。
まとめ
- 「一人前」としてまず職長を目指す
- 3〜5年の経験で職長を任される事が多い
- 「自分で考えて行動」が全ての基準
- ダメな人の例から反面教師として学ぶ
一人前の評価を受けるには長い年月がかかります。とはいえ大事なことはそこに至るまでの過程です。
職人の良し悪しは技術・知識・人間力の総合評価で決まります。日々コツコツと努力をする姿は必ず誰かが見ています。
本記事の内容は必ずしもあなたの正解ではありません。自分の理想とする職人像は自分で決めるべきです。
そして、1人でも多くの「一人前の職人さん」が増えることを願っています。