今回は「電工ハンマー」をテーマに解説していきます。
本記事を読むことで分かること
- 電工ハンマーの基礎知識
- 電工ハンマーの用途
- 電工ハンマーのおすすめ紹介
- 電工ハンマーの豆知識
記事の信頼性
私は現役の電気工事士で「職人」と言われる立場で現場でモノづくりをしています。
電気工事に興味のある方や新人さんに向けで役立つ情報をお届けします。今回紹介する電工ハンマーは電気工事においてとても重要な工具の1つです。正しい知識と使い方で仕事の幅は大きく広がるので、是非エレ子と一緒に学んでいきましょう。
電工ハンマーの基礎知識
電工ハンマーには大きく3つの特徴があり下記のとおりです
- ヘッド部分
- グリップ
- 柄の形状
ヘッド部分
木造の配線支持に使うステップルを打ち付けたり、釘打ちや打ち壊しなど実際に叩く部分。ヘッドの後ろの尖っている部分で狭い場所で叩いたり打ち壊し、コンクリート軽微な斫り作業に使うこともあります。
グリップ
握りやすく滑りにくい材質で出来ていることが多い。
その他の用途として寸法の微調整をするときに使うことがあります。例えばケーブルラックの吊りダクターの位置を叩いて微調整する時にも使えます。その場合ヘッドの部分で叩くとキズがついてしまうので「グリップ部分で叩く」といった具合です。割と細かいことかもしれませんが、グリップ部分も使い道があります。
柄の形状
電工ハンマーと呼ばれる一番の特徴で、柄の部分がソケット状になっています。この部分でナットを回す事ができます。
電工ハンマーの用途
電工ハンマーは普通のハンマーとは違い下記のような用途で使用されます。
- ステップル、釘を打つ
- ナットを締め込む
- ケーブルのクセ取り
- その他の軽作業
ステップル、釘を打つ
電工ハンマーの用途では一番多いのが「ステップル」の打ち込み作業。
ステップルとは木造で配線をする場合にケーブルを支持する(留める)時に使う材料です。具体的には上記画像のようにステップルを打ち付けていきます。
とはいえ電気工事の中でもRC造(鉄筋コンクリートの建物)メインで仕事をしている職人さんは使用頻度が落ちる為、腰道具には装備しない人も多くいます。同じ電気工事士でも仕事内容によって重要度が違う工具でもあります。
ナットを締め込む
先述した電工ハンマーの特徴が「柄の形状」で上記画像は拡大したモノです。
6角形になっていてナットを回すことが可能です。また、柄の中身が空洞になっているので長い全ねじボルトにナットを取り付ける際に役立ちます。
「ダクターソケット」と呼ばれる肉薄の形状で、ダクターやレースウェイの中にも柄ごと入りナットを取り付けることが出来るようになっています。
ケーブルのクセ取り
応用した使い方でVVFケーブルのクセ取りがあります。電気工事では特に、ラック配線や盤結線など見える部分はキレイに仕上げることが良しとされています。
少し触っただけで癖や曲がりがついてしまうVVFケーブルをまっすぐ戻すのは至難の技で、そんな時に電工ハンマーが活躍します。
その他の軽作業
その他の用途としては具体的に下記の通り
- 寸法の微調整
- 軽微な削り作業
上記以外にも、叩く作業であれば色んな応用を効かせて使うことができます。「電工ハンマーだからこう使わなきゃダメ!」といった先入観ではなく柔軟な考えを持つことが大切です。
電工ハンマーおすすめ紹介
代表的なメーカー
- DENSAN(デンサン)
- FUJIYA(フジヤ)
- MARVEL(マーベル)
- 土牛(どぎゅう)
- 高儀(たかぎ)
- 中村工房(なかむらこうぼう)
電工ハンマーの主なメーカーは上記の通り、特にメーカーへのこだわりが無ければ機能面で選ぶようにしましょう。
定番の電工ハンマー【おすすめ3選】
【DENSAN】チャンネルソケットハンマー
- 3分ナット(17mm)に対応したソケット
- 柄は肉薄なのでダクターの中のナットも回せる
- ヘッドの細い部分で打ちこわし作業が可能
柄の長さが程よく使い勝手が良い電工ハンマー。
チャンネルソケットは肉薄タイプで、ダクターやレースウェイの中のナットを回すことが出来ます。ヘッドは平らな部分で叩く作業、尖った部分では打ち壊しの作業に使うことが可能。クセがなくオールマイティな電工ハンマー。
【FUJIYA】貫通式ポケットハンマー
- 貫通穴が空いている
- 極小サイズで狭い場所でも活躍する
- ダクターの中のナットを回せる
全長205mmの極小サイズで使う場所を選ばず小回りのいい電工ハンマー。大きな特徴としてハンマーに貫通穴が開いていて、全ネジを貫通させてナットを回すことが出来ます。
具体的に、ケーブルラック施工のダクター吊りで活躍します。貫通穴が開いていることでボルトの長さに関係なくナットを締め込むことが可能です。
【MARVEL】電工ダクトレンチハンマー ラチェット式
- ラチェット機構付きのソケット
- 握りやすいソフトタイプのグリップ
- 柄は肉薄でダクターの中のナットも回せる
柄のソケット部分がラチェット機構になっていてナットの早回しが可能。
握りやすいソフトグリップは使用頻度が高い人でもストレスなく扱うことが出来ます。
電工ハンマーの豆知識
【その他】両口ハンマー
電気工事では電工ハンマー以外に「両口ハンマー」という重量のあるハンマーを扱う場合があり、具体的に使用する場面は下記の通りです。
- オールアンカー打ち込み時
- おねじアンカーのボルト調整
- QCアンカーの調整
上記の通りアンカー施工時にほぼ必須となるハンマーで、電工ハンマーとは違い強い衝撃で打ち付ける事が出来るのが特徴です。
ハンマーホルダー
電工ハンマーは腰道具に常備しておくのが基本で、その為にはハンマーホルダーが必要になります。おすすめのハンマーホルダーをご紹介するので是非参考にしてみて下さい。
【タジマ】着脱式ハンマーホルダー
タジマの着脱セフシリーズでカンタンに取り外しができるハンマーホルダーです。
電工ハンマーは作業の内容によって使う頻度が異なるので、必要な時だけ装備したい方にとってオススメのハンマーホルダーです。
【デンサン】電工プロ キャンバスハンマーホルダー
キャンバス素材で軽いのが特徴、電工ハンマーは腰道具の中でも重い部類の工具なので少しでも軽量化を考えている方にはオススメのハンマーホルダーです。
【カクイ】工具ホルダー ワンタッチハンマー差
上からでは無く、横から「ガチャン」とワンタッチでハンマーをセットできます。
電工ハンマーの出し入れは割とストレスに感じるので、楽に取り出したい方にはオススメのハンマーホルダーです。特に使用頻度の高い木造メインの職人さんは相性◎
まとめ
- ヘッド・グリップ・柄の形状がポイント
- 柄がソケット状でナットを回す事が可能
- メインの使用方法はステップルの打ち込み
- 購入の際はチャンネルソケットを選ぶ
- パワーが必要な作業は「両口ハンマー」
- ハンマーホルダーは機能で決める
▼本記事で紹介した電工ハンマー