こういった悩みに答えます。
本記事のテーマ
- 電気工事士が使う電工ドライバー
この記事を読んで分かること
- 電工ドライバーについての基礎知識
- オススメの電工ドライバーの紹介
- 用途別の特殊なドライバーの紹介
- 電工ドライバーの豆知識
記事の信頼性
現役の電気工事士の職人です。 電工ドライバーは電気工事士には欠かせない工具の一つです。現場作業はもちろん私生活でも活躍する工具なので、是非日々の生活に役立てれば幸いです。
電工ドライバーの基礎知識
電気工事士が使う「電工ドライバー」 その特徴を解説していきます。
電工ドライバーの特徴
電工ドライバーの特徴は上記画像の通りです。
- 先端サイズ
- グリップ
- サイズ(全長)
先端サイズ
電工ドライバーにはプラスとマイナス形状があります。その中でも一番汎用性に優れているのが
- プラスドライバー → +2
- マイナスドライバー → −6
特に使用頻度の高いプラスドライバーは+2でほとんどのねじサイズに対応できます。
グリップ
グリップはゴムやプラスチック製で絶縁体(電気を通さない)を使用しているのがポイントです。職人が持つドライバーの殆どはゴム製です、何故なら手袋をした状態で滑りにくいから。特にボールグリップと呼ばれる球状のグリップは握り込むように持つことが出来るため力調整がしやすく愛用する職人さんが多いです。
サイズ(全長)
電工ドライバーのサイズ(全長は)短いほど取り扱いやすく、長いほど難しいです。 ですが扱いが難しい長いドライバーは、奥まった場所(盤の中等)での使用に役立ちます。どちらも一長一短あり作業スタイルや好みに合わせて選んで良いポイントです.
電工ドライバーの軸タイプ
電工ドライバーには「軸」の違いがあり下記の3点です。
- 非貫通型
- 貫通型
- 差し替えビット型
非貫通型
電工ドライバーとしてスタンダードな非貫通タイプは、ドライバーの軸部分がグリップまで届いていません。 つまり持ち手の部分が電気的に絶縁されている事になります。電気工事士として使うには、基本的には非貫通タイプを使うことをオススメします。
貫通型
貫通タイプはドライバー軸がグリップ部分まで貫通しています。 特徴としてはハンマー等で衝撃を与えても大丈夫な作りになっており、錆びたり山が潰れかかっているねじを叩いて回しやすくします。
差し替えビット型
グリップ部分とドライバー軸が別になっている差し替えビット型で、最大の特徴は用途によって軸を変えられること。
ビットの長さを変えたり、形状を変えたりと幅広い使い方が出来ます。 また使えなくなったビットは新品と取り替える事で解決するので、通常のドライバーを買い換えるより安価に運用することが出来ます。
電工ドライバーの用途
電工ドライバーの用途について解説します。
プラスドライバーの用途
ねじ止め作業
基本の使い方です。電気工事は色んな場面でねじ止め(緩め)作業を行います。
- 端子台への結線
- 器具の取り付け
- 様々な電気機器・・等
電気工事士にとって、プラスドライバーは無くてはならない必須の工具です。
増し締め
端子台への結線の際に「増し締め」という作業があり、ねじがしっかりと締められているかの確認をする作業です。但し、現場によりトルクレンチやトルクドライバーで適切な増し締めを行う場合があるため、施工ルールの確認が必要です。
ボード開口時
施工ボードの中にあるボックスの位置を探る際にプラスドライバーを挿して確認します。 石膏ボードは硬いのでドライバーの持ち手部分をハンマーで叩き差し込んでいきます。 用途は限定的ですがちょっとした作業に役立ちます。
マイナスドライバーの用途
ねじ止め作業
マイナスドライバーはプラスドライバーに比べ使用頻度は少なくなります。 その理由は、ねじ形状のほとんどが「+」だからです。とはいえ稀に「ー」のねじも存在するのでその場合はマイナスドライバーを使用します。 具体的に「ー」ねじが使われている場所は下記の通り
- プルボックスのアース端子
- ワットメーター(電力量計)の端子
- 照明の化粧ビス..etc
簡易削り作業
マイナスドライバーをノミの替わりとして簡易削り作業に使用します。 私の場合はコンクリートを削る場合に使うことが多いです。とはいえあくまで「簡易的作業」なので本格的に削る際は専用工具を使用します。
電線外し
照明・スイッチ・コンセント等の負荷には必ず「電線の外し穴」というモノがあります。 その穴にマイナスドライバーを差し込むことで繋がっていた電線を外すことができます。 電気工事としてマイナスドライバーを使う理由はほとんどコレだと思います。
ちなみに電線の外し穴には「プレート外しキー」という専用工具があり、Twitterにて画像付きで解説しています。
一本持っておくと安心の 「プレート外しキー」を図解しました。 現場でも技能試験でもいざというときに持っておくと すごく助かる存在です。 盤キー200番や高所作業車の鍵と合わせて持っておくと いろんな事に対応できる鍵セットの完成です😌 pic.twitter.com/4vEspjoDQQ
— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) May 24, 2021
スイッチやコンセントから電線を外す場合ドライバーを入れると割れてしまう事があります。プレート外しキーがあれば安全に速く外すことができます。
オススメの電工ドライバー
電工ドライバーを扱う主なメーカー
オススメの電工ドライバー
ここでは、電工ドライバーを選びに悩んでいる方向けに「迷ったらコレ」というモノを紹介していきます。
現場ではベッセル製の電工ドライバーを愛用している人が多く、特にボールグリップドライバーは人気の商品です。持ち手がボール形状で握り込むように回すことができます。 ゴムグリップで手袋をしていても滑りづらく、素手と同じ感覚で使うことができます。
機能付きドライバーの紹介
ここからは機能付きの特殊なドライバーを紹介していきます。普通の電工ドライバーとは一味違った用途を持っているので、サブ工具として使うのも効果ありです。
マグネット付きドライバー
ドライバー軸がマグネットになっているタイプ。 上向き作業や細い隙間などでねじ締めの際に役立ちます。片方の手でねじを支えるのが基本ですが、マグネット式だとくっついているので支える必要がなく片手でネジ締めができます。
落下防止機能付きドライバー
落下防止機能付きのドライバーは高所での作業で活躍します。腰ベルトに安全コードで取り付け落下を防ぐことで安全性が高まります。 現場によっては高所作業の際、装着が義務付けられている場合もあります。
ラチェット式ドライバー
グリップ部分がラチェット式になっており、ネジの早回しが可能です。そのまま手回しも出来るのでネジ締めが多い作業の場合に活躍します。
スタビードライバー
超小型のドライバー、片手で握り込み狭い場所でのネジ締めに適しています。ビットは差し替え式なのでプラス・マイナスにも対応しています。長いビットほどチカラを入れやすいので、場所によってビットの長さを変えてみるのがオススメです。
オフセットラチェットドライバー
こちらも狭い場所でのネジ締めに使用します。 薄型でラチェット機能が付いているため、狭く体勢の悪い場所でも十分に締め付ける事が可能です。
マグキャッチャー
通常のドライバーに取り付けることでマグネット機能を付与することが出来ます。 マグネットは先述の通り、片手でネジ締めに出来るのがメリットです。 逆にマグネットが強力すぎて知らないうちに変なモノがくっついていたりします。 それ故、使いたいときだけ付けるようにしたほうが無難だと思います。
電工ドライバーの豆知識
電工ドライバーについての豆知識を紹介していきます。運用の参考になれば幸いです。
心線の輪作り
電工ドライバーを使って心線の輪作りをすることが可能です。ペンチやVVFストリッパーで作ることが基本とされていますが、曲げ方の仕組みを理解していれば色んなモノで代用が可能です。 ▼具体的な方法はInstagramを御覧ください (横にスワイプでページ送り)
この投稿をInstagramで見る
電工ドライバーは消耗品
ドライバーは消耗品と考え、こまめに買い換えたりストックしておくことをオススメします。 先の潰れたドライバーで無理にネジ締めをすると破損の原因にも繋がります。 特に使用頻度の高いプラスドライバーはメンテナンスの度にチェックするようにしましょう。
ビニルテープで感電対策
絶縁ドライバーを買わなくても、軸にビニルテープを巻いておけば絶縁できます。 活線中の盤結線や年次点検などで盤の中で作業する時など万が一の感電対策になります。
さいごに
いかがだったでしょうか?
ある程度電工ドライバーへの理解が深まったかと思います。沢山の種類を紹介しましたが、新米電気工事士さんには一番スタンダードなドライバーを使うことをオススメします。
基本の電工ドライバーを使い、ねじ締めの感覚をしっかり身につけることが大切です。
当ブログでは今回のドライバーをはじめとして様々な工具の記事を執筆しています。 ぜひ、工具選びの参考にして頂けると幸いです。