今回はこのような悩みに答えていきます。
本記事は電気工事で使うテスターについて解説しています。
「テスターって何?」
「おすすめのテスターを知りたい」
こういった悩みに向け、テスターの基礎知識、使用用途、プロ向けのおすすめテスターを紹介します。
特に電気工事士として働いている方や、資格を取ってDIYを始めたい方に参考になる内容になっています。
電気工事士なら持っておくべき「テスター」
テスターって何?
電気工事業者が持つべき測定器三種の神器
・絶縁抵抗計(メガー)
・接地抵抗計(アーステスター)
・回路計(テスター)特に電圧電流などを測定する回路計(テスター)は日常生活でも持っておくと役立ちます。電工2種をDIYに活かすならテスターは必須😌
— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) April 7, 2021
テスターとは「回路計」のことで電圧や電流、抵抗などを測定する計器です。
電気工事業者は一般電気工作物の工事を行う営業所ごとに、下記の計器の備え付けが電気工事士法で義務付けされています。
- 絶縁抵抗計(メガー)
- 接地抵抗計(アーステスター)
- 回路計(テスター)
回路計(テスター)はとても電気工事において重要な計器。プロとして現場で使用する以外に、DIYとして電気工事を行う際にも最低でもテスターは持っておきたいところ
テスターの機能
テスターとは別名「マルチメーター」と呼ばれるほど様々な機能が付いています。
ここでは機能を項目別に解説していきます、がテスターによって測定できる機能には
違いがあるのでそこだけ注意です。
直流電圧
直流とは簡単に言うと大きさが変わらない電気の流れ方。
太陽光パネルの出力電圧、軽装盤のDC24V、電池などのバッテリーの電圧を測定する場合などに使用します。
交流電圧【使用頻度:高】
交流とは簡単に言うと流れる向きや大きさの変わる電気の流れ方。
電気工事としては、一番多く使用するのが交流電圧です。主にコンセントの差し込み口にセットし線間電圧を測定する場合に使用します。
直流電流
直流の電流を測定します。
測定には対象の電路を切断し、負荷側と電源側の間に直列にテスターを接続する必要があります。現場ではあまり使用する機会は少ない(場合によりますが)
交流電流【使用頻度:高】
交流の電流を測定します。
現場では切断できない電路を調べたい場合にクランプ機能を使う場合が多いです。
抵抗
抵抗値を測定します。抵抗値とは「電気の流れにくさ」です。
静電容量
静電容量とは、コンデンサなどの絶縁された導体に電荷を蓄えられるかを表す量です。
コンデンサの容量測定をする場合等に使用します。
周波数
測定信号の1秒間の繰り返し数をカウンタで表示します。
現場で使う頻度は少なめ。
ダイオード
電流の発生する回路から、測定したいダイオードに電流を印加して電圧を測定します。
導通【使用頻度:高】
回路が電気的に繋がっているか確認することができます。現場で使う場面は多く、導通が取れている場合は表示とブザーが鳴ります。
検電
当てた部位に電気を帯びているかを確認することができます。
現場ではテスターよりも「検電器」を使用します。
温度
テストリードを使用し温度を測定することができます。エアコンの吹出し温度の測定等に使用します。
デジタルテスター・アナログテスター
テスターには大きく分けてデジタルテスターとアナログテスターの2種類あります。
デジタルテスターの特徴
- 数値がディスプレイに表示される
- バックライト付きで視認性がいい
- 小型で持ち運びがしやすい機種が多い
アナログテスターの特徴
- 針で表示され数値変化が見やすい
- デジタル式に比べ反応が早い
もしよく分からなくて、迷っているならデジタルテスターを選んでおけば問題ないと思います。現に私もデジタルテスターしか持っていませんが現場で不便を感じたことは無いです。
テスターの使い方【主な機能3つ紹介】
電気工事で使用する際に使う機能は主に3つです。
①交流電圧値測定
②電流値測定
③導通確認
テスターの使い方①:交流電圧値測定
電圧値測定は主にコンセント施工時に行い、流れとしては下記の通り
①コンセント取り付け完了
②メガーにて絶縁測定
③ブレーカー投入
④テスターにて電圧値測定
極性を確認する専用の測定器「コンテスター」があればより効率よく作業を進めることができます。
電圧値測定の方法
電圧の測定値は100V回路だと105V前後、200V回路だと210V前後になります。
またアース極付きコンセントの場合、極性チェックも行い適切に結線されているかどうかも確認します。
測定時は差し込んだリード線に触れたり、充電部に触れている時に短絡させると感電する危険があるので注意しましょう。
テスターの使い方②:電流値測定
電流値測定は、電気が流れているかどうかの確認をする為に使用します。主に電気工事士が現場で使用するパターンが多いと思います。
稼働中の建物でブレーカーが落とせない状況では、電流の有無で目的のケーブルを探し出す。といった使い方をします。
電流値測定に関しては、クランプメーターやクランプ機能付きテスターを使うことがメインになります。
電流値測定方法
負荷電流を測定する際は電線1本をクランプにかけること。例えばVVFケーブルはシースごとはさんでも測定できません。電圧のかかっているIV1本だけをはさみ測定する。
漏れ電流の測定は、負荷電流とは違いケーブル一括にクランプをかけます。異常がなければ電流値は「0」。アース線は漏れ電流が流れる線なので、電流値が出れば漏電。
テスターの使い方③:導通確認
現場における導通チェックの場面は主に「トラブル時」になり
具体的には下記のようなシーンで使用されます。
- 配線時に回路番号を見失った時(書き間違えなど)
- 配線時に同じケーブルを間違って引いた時
- 回路番号が不明なケーブルを調べる時
導通確認の方法
ケーブルの両端の心線を出し、一方を短絡させ一方にテスターを当てます。
導通がある場合はブザーで知らせてくれます。
電気工事の配線は多くなると200本以上になる場合もあり、全てのケーブルをミス無く配線しなければいけません。配線時にテスター(導通機能付き)を常備しておくことでトラブル時に役立ちます。
【プロ向けオススメ紹介】電気工事士が使うテスター5選
電気工事士が使う現場向けのテスター(主流なデジタル式を中心)を紹介していきます。テスターを選ぶ際は信頼のある国内メーカーを選ぶ事です。
HIOKI(日置電機) 3244-60 デジタルマルチメーター
カードタイプで携帯性に優れたデジタルマルチメーター。
現場に最低限必要な機能が付いていて持っている職人さんは多いです。専用ケースも付いているので持ち運びの際も安心。
補足ですがケースに別途100円均一等のマグネットを取り付け、近場にくっつけることで測定しやすくする、といった使い方をしている職人さんがいました。色々工夫してますね
共立電気計器 (KYORITSU) 120A RMS AC/DCクランプ付デジタルマルチメータ KEWMATE 2012RA
クランプ付きのデジタルマルチメーターです。ミニサイズのクランプのおかげで分電盤での電流チェックも容易に行なえます。
また特徴としてカバーがしっかりしていて耐久性が強く、より現場向きなモデルになっています。
HIOKI (日置電機) ACクランプメータ CM3289
クランプメーターは対象の電線をクランプ部分に挟み込むことで数値を測定します。
テストリード線がない分使用場面は絞られますが、充電部に振れること無く測定することが可能なので安全性に優れています。
HIOKI デジタルマルチメータ DT4261-90 無線通信:通信距離 見通し10m
スマホやタブレットをBluetooth®通信で専用アプリと接続し、データ管理ができる高性能なデジタルマルチメータ。
エクセル自動入力機能があるので、手書きで数値を記録→事務所でデータ入力の手間が省けるのは大きいメリット。
また地味に嬉しいのが、キャップ一体化のテストリード。スライド式で長さ調節が出来るので安全、かつキャップを無くす心配もありません。マグネット付きで両手が使えるのもポイント高い。
かゆいところまで手が届く、まさに次世代の現場向きデジタルマルチメータ。
KYORITSU デジタルマルチメータ(ペンタイプ) KEW1030
ペン型のテスターはその見た目通り、持ち運びに最適です。
ディスプレイにはバックライトが付いていて視認性も良く、小さいボディの中には必要最低限の機能が詰め込まれています。
さいごに
電気工事士には欠かせない測定器「テスター」
マルチな機能を持ち合わせた計器ですが現場で使用する機能はそこまで多くなく
- 交流電圧が測定できる
- 交流電流が測定できる
- 導通チェックが出来る
最低限上記の機能がしっかりしていれば(大抵どの機種にもある)あとは使い勝手など好みの問題だと思います。
購入を考えている方の参考になれば幸いです。