電気工事士の腰道具に必ず入っている電工ナイフ。刃物を上手に扱える技術は、電気工事士にとって必須のスキルです。
今回は「電工ナイフ」をテーマに解説していきます。
本記事を読むことで分かること
- 電工ナイフの基礎知識
- 電工ナイフの用途
- 電工ナイフはどれを選べばいい?
- 電工ナイフのメンテナンス方法
記事の信頼性
私は現役の電気工事士で「職人」と言われる立場で現場でモノづくりをしています。
電気工事に興味のある方や新人さんに向けで役立つ情報をお届けします。
電工ナイフの基礎知識
▼電工ナイフの特徴は下記の3点です
- 先端形状・材質
- グリップ
- 収納方法
先端形状・材質
電工ナイフの刃の部分は大きく分けて2種類あります。
鉄製
一般的な電工ナイフの刃は鉄製です。
強度が高く折れにくいのが特徴で、多少乱暴な扱いをしても耐えられます。又、刃こぼれ等切れ味が落ちた場合は研ぐことで切れ味を復活させることが出来ます。
短所としては雨に弱く、濡れるとスグに錆びてしまいます。雨の現場などでは作業が終わった後はメンテナンス必須になります
ステンレス製
サビに強く、濡れた後でも水気をさっと拭き取るだけなので手入れがカンタンです。
その代わりに刃こぼれした際は研ぐのが難しく、技術が必要になります。
グリップ
グリップは電工ナイフを握る部分です。
ラバー製
ラバー製は手にフィットして滑りにくいのが特徴です。作業中は作業手袋をする場面がほとんどなので、滑らないの事はとても重要です。
木製
木製は、正直な所見た目重視かなと思います。さらに木製の電工ナイフは折りたたみ式が多く、常に持ち歩きサッと取り出すには少々不便かもしれません。
プラスチック
プラスチックは軽さが特徴。
収納方法
電工ナイフの収納方法は2種類あります
固定刃
刃が固定されているタイプ。収納するためには専用ホルスターが必要で、腰ベルトに装着して使用します。
多くの電気工事士はこのタイプを使っています。
折りたたみ式
刃を折りたためるタイプ。柄の部分におりたため折りたたむことでコンパクト活安全に持ち運び出来るようになります。そこまで頻繁に使うことがないDIYや資格の技能試験では折りたたみ式がおすすめです
電工ナイフの用途
電工ナイフの用途は下記のとおりです
- ケーブルの被覆剥き
- PF管などの切断
- 軽微な削り作業
ケーブル被覆剥き
使用頻度の高い使い方で、電工ナイフがあれば大抵のケーブル処理をすることができます。VVFのような平型からVVRの丸型ケーブル、さらにCVTなどの太い幹線や高圧ケーブルまで電工ナイフ一本あれば被覆を剥くことができます。
PF管の切断
PF管(合成樹脂製可とう電線管)を切断する際に使用します。使用する場面は下記の通りです
- スラブ配管
- 間仕切り配管
- 露出配管
但し現場によってはPF管の切断は専用工具を使わなければいけない場合があるので、各現場のルールを確認して下さい。
軽微な削り作業
電工ナイフは強度が強く、多少手荒な使い方をしても折れたりすることはありません。その為、軽微な削り作業に使用することがあります。
具体的には、スイッチボックスなどのボード開口時の微調整などは電工ナイフを使ってガリガリと削ることがあります。
カッターナイフとの違い
電気工事士でよく使う電工ナイフとカッターナイフ。
・電工ナイフはある程度チカラが必要な作業
・カッターナイフは繊細な作業と使い分けをしながら運用するのがオススメです。
工具は適切な場面で使うことで怪我のリスクを減らしたり、効率が上がったりします😌— でんちゃん@電気工事✕情報発信 (@denchan_ew) August 23, 2021
上記ツイートの通り、電工ナイフとカッターナイフは同じ刃物でも用途が違います。
- 電工ナイフ → 力が必要な作業
- カッターナイフ → 繊細な作業
▼カッターナイフの用途は画像の通り、ケーブルの被覆向きやその他の雑作業がメインです。
▼カッターナイフについて知りたい方はコチラの記事をどうぞ
≫参考:【電気工事士】カッターナイフの基礎知識・おすすめ紹介
オススメの電工ナイフ
代表的なメーカー
電工ナイフの代表的なメーカーは上記画像の通り
- 未来工業
- タジマ
- マーベル
- デンサン
- ホーザン
- クラインツール
定番の電工ナイフ【おすすめ3選】
【未来工業】デンコーマック
- 腰道具にセット出来るホルスタータイプ
- 握りやすく滑りにくいラバーグリップ
- 鉄製の刃で研いでメンテナンスできる
デンコーマックは現場の職人さんで特に愛用者が多い電工ナイフです。これと言った特徴こそ無いもののスタンダードで扱いやすく、ホルスターからの出し入れがとてもスムーズです。クセの無い万人にオススメできる電工ナイフです。迷ったらとりあえずコレ
【タジマ】タタックナイフ
- 腰道具にセット出来るホルスタータイプ
- 叩いてノミのように使える
- 先端刃の背面には簡易ヤスリ付き
タタックナイフは高機能な電工ナイフです。先端部分も刃になっていて、突いても機能するようになっています。
これによって、叩いてノミのように削る作業ができるようになります。また刃は背面がギザギザ形状になっていてヤスリとして使うことも可能です。
電工ナイフに機能性を求めている方にオススメの一本。
【HOZAN】Z-683
- 持ち運びに安全の折りたたみ式
- 手に馴染む木製グリップ
- 必要な時にだけ使う技能試験向け
ホーザンZ-683は折りたたみ式で持ち運びに便利な電工ナイフです。主に電気工事士資格の技能試験など一定期間しか使わない場合にはこのタイプがおすすめです。
技能試験のセット工具の中に入っているのもこの折りたたみ式です。但し、これを現場で腰道具で運用するのは無理がある(ホルスターが無い)ので注意です。
始めの一本で迷っているなら上記の未来工業「デンコーマック」はオススメで、一度手に持ってみるとその扱いやすさを感じると思います。是非参考にしてみて下さい。
電工ナイフのメンテナンス
電工ナイフはメンテナンスをしっかりすることで長く使っていくことができます。
研ぎ方については基本的に包丁と同じく研ぎ石を使えますが、専用のシャープナーを使うことで手軽で簡単に研ぐことができます。
また、切れ味の悪い電工ナイフを使っていると、必要以上にチカラを込めてしまうためケガの原因にも繋がります。作業効率、安全性の面から見てもこまめなメンテナンスが必要です。
小型で軽量の電工ナイフ専用シャープナー、粗目と仕上げの2種類のシャープナーで手軽に研げるのが魅力。個人的には雨の日で濡れた後などはCRCで清掃して、仕上げに研ぐというのがベスト。
上記のシャープナーと似ていますが、こちらは机などにしっかり固定させることで安定した使い方が可能。さらに波刃タイプに使えるダイヤモンドシャープナーロッドが付いていて、機能性に優れています。
まとめ
- 先端形状、材質・グリップ・収納方法に注目
- ケーブル被覆剥きをメインに使用する
- カッターナイフとの併用で作業に幅が出る
- 迷ったらデンコーマックがオススメ
- 定期的に研いでメンテナンスをする
▼本記事で紹介した電工ナイフ